ストーリー

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 ある日、ニューヨークのドキュメンタリー映画作家パメラのもとに、スペインの国際弁護士アルムデナから連絡が入る。現在、スペインで提訴された「80年代の中米グァテマラでの先住民大量虐殺事件」裁判について、当時の独裁者リオス = モント将軍を国際法廷で訴追するための証拠を捜しているというのだ。

 パメラは、80年代にグァテマラで、内戦の取材をしたことがあった。その経験をもとにドキュメンタリー映画『山が震えるとき』を発表し、サンダンス映画祭グランプリを獲得、また、その主要出演者だったマヤ・キチェー族の女性運動家リゴベルタ・メンチュウを世界に紹介したことがある。しかしまだ、グァテマラでの膨大な未編集のフィルムが倉庫に眠っていた。

 これらを証拠に、行方不明者45000人を含んで、20万人にも及ぶグァテマラのジェノサイドとその責任を立証できるか。

 アルムデナの依頼に応じてフィルムを捜すうち、彼女の過去の記憶が鮮烈に蘇る。山地のゲリラ軍に極秘裏に接触した経験、その事実を隠して軍関係者と親しくなり同行取材した経験、大統領自身とのインタビュー ....。

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写真: Dana Lixenberg

 そして、この国際法廷での証拠捜しと証言を通じて、20年の時を経て、ふたたび彼女は、当時の関係者と相まみえることになる。

 彼女に山で取材することを許したゲリラ司令官、彼女が乗っていた軍のヘリを撃墜した先住民ゲリラ兵士、何者かかから軍の秘密書類を託された女性ジャーナリスト。そして、軍によって村ごと虐殺され、家族も皆殺しにされた中で、奇跡的に生き残った先住民の男性...。

 さらにパメラの取材は、現在のグァテマラに続く。生命の脅迫を受けながら、グァテマラ市内から次々発掘される死体を調査する法人類学者、父親が行方不明になったまま成長した少女。そして発見される、警察の極秘文書。

 笑って虐殺の存在そのものを否定する大統領自身に対し、彼が当時のジェノサイドの最高責任者であったことをどう立証するか。スペインの裁判所は、それに対してどう判断を下すのか。彼らの息が詰まるような攻防が始まる。